恐怖の泉

子供向け怖い話「鏡の世界」

私が通っていた学校には、廊下の突き当たりに大きな鏡がありました。
長い廊下が鏡の中にも続いて見える風景は不気味なもので、昔から怖い噂のネタにもなっていました。

「夜にその鏡を覗き込むと、鏡の世界に引き込まれてしまう。」

噂を聞いた私と友人のA、Bは、夜中に学校へ忍び込んで事の真相を確かめてみよう、という話になったのです。
決行日は夏休み直前。昼間のうちに1階の目立たない箇所にある窓の鍵を開けておき、侵入出来るようにして下校します。
そして夜中にA、Bと集合して学校へと向かいました。

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作成は成功し、例の窓から私達は校舎内へと忍び込みました。
夜の学校は当然ながら真っ暗でしんと静まっており、恐怖から緊張感が高まります。
私達は鏡の前へ行きました。

「何もないね。」「だね。」

予想通り、鏡は昼間いつも見ている感じと全く同じでした。
まぁそりゃそうだよな~なんて思いながら少し期待していたのでガッカリです。
そしてBが鏡に近づいたその時でした。

うわっ!

3人が同時に異変に気がつき声をあげます。
なんと有り得ない事に、鏡の中から白い人の手が伸び、Bの腕を掴んでいました。

わ~!!

私達は必死に白い手を振り払おうとしましたが、それはまるで金属で出来ているかのように硬く、全く歯が立ちません。
白い手はBをどんどん引っ張り、Bの体はなんと鏡の中へ入りつつあります。
私とAは、必死になってBの腕やら足やらを引っ張り抵抗しました。
ですがついにBは鏡の中へ入ってしまい、枠の右外側へ行ってそれきり見えなくなりました。

急いで鏡をどうにかしようと試みましたが、何をどうしようとただの鏡です。
足元にはBの脱げた靴が、片方だけ残っていました。

私とAは急いで帰り親へ助けを求めましたが、人が鏡の中に入ってしまった、なんて話が通じる訳がありません。
むしろ夜中に秘密で外出し、学校へ侵入した事を怒られる始末です。
警察も来て学校の鏡も調べましたが、結局Bは見つかりませんでした。
きっと夏休みが明ければBも元気に学校へ来るだろう、という淡い期待もありましたが、大人になった今でもBは行方不明のままです。

鏡はほどなくして廊下から撤去されてしまいました。
私とAは、その中にBが居る!と訴えましたが、むしろ撤去されるきっかけを作ったのは私達です。
聞き入れられるはずも無く、あぁもうこれでBを助けられないと、私とAは泣きました。

あの時、鏡を見に行きさえしなければ…。

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