怖い昔話「八百屋お七」
昔、とある八百屋に「お七」という若い娘が居た。
お七の家は火事に遭ってしまい、家族は全員助かったが建物は全焼。
住む場所が無くなった為、お七一家は寺へ身を寄せ、その間に家を再建する事となった。
その寺には奉公をしていた庄之助という、お七と年齢の近い若者が居た。
生活を共にするうち、お七と庄之助はお互いに惹かれあい、恋慕の情を抱くようになる。
何気ない日々が楽しく、お七には庄之助との時間全てが輝いて見えた。
庄之助さんともっと一緒に居たい。話をしたい。姿を見たい。このままずっと傍に…。
しかしそれも束の間、新しい八百屋が完成した事でお七達は寺を出る日を迎えた。
新しい家は嬉しいけど、庄之助さんとはもう、今までのようにはいかない。
戻ってきた日常。
庄之助さんとは会いたいのに、会えない。
庄之助さんが居ない。辛い。
庄之助さんに会いたい。会いたい。
私はこんなにもお慕いしているのに…。
お七の中にある庄之助への思いは張り裂けんばかりで、日に日に心が苦しくなっていった。
一体どうすれば、この気持ちは救われるのか。
あ…。
そこでお七は気づいた。
家が火事になった事で、私達は庄之助さんの居るお寺でお世話になったのだった。
それならば、また家が火事になったらお寺に戻れるのではないか。
庄之助さんに会って、また一緒に暮らせるのではないか。
それならば…。
思い詰めたお七はそう考えるようになり、あろうことかそれを実行してしまった。
幸か不幸か、お七は放火の現場を見られて捕まり、火もすぐに消し止められぼやで済んだ。
火が燃え広がり易く被害が大きくなりがちな事から、放火は大罪である。
お七には火あぶりの刑が下された。
お七はまだ十代。二十歳を迎える前にその生涯を終えた。
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