恐怖の泉

実話系・怖い話「ゴロゴロ音」

これは私が入院していた時に体験した話なのですが。

とある病気で入院が避けられなくなった私は、観念して近所にある大きな総合病院へ入る事になりました。
初めての入院は勿論不安だったのですが、それ以上に私はホラーが大の苦手。
病院は怖い場所というイメージがあった私は、病気よりもそっちが気になって仕方がありません。

入院当日、案内された部屋には患者さんが1人居ました。
その方は愛想が良くお喋りな年配の女性で、1人じゃない状況にすごくホッとした事を覚えています。
入院中は基本的に暇でしたが、その方と会話をしていると時間が過ぎるのも早く感じられました。

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「私、明日退院なの。お先するわね。」

突然の話に、私は戸惑いを隠せませんでした。
「え~!私1人になっちゃうの~?!」
幽霊が怖い!とその方にも話していたので「大丈夫よ~何も出ないから」と慰めては貰えましたが、心中穏やかではありません。
看護師さんにも「次に入院する人はいつ来ますか」と質問して笑われましたが、私は焦りました。
病院で1人の夜…果たして乗り切れるのか。

そしてついに、1人きりの夜がやってきます。
暗闇の恐怖と、体力も十分過ぎる程有り余っているせいか、全く眠くなる気配がありません。
用もないのに看護師さんを呼ぶのも迷惑だしな…とモンモンとしながら時が経つのを待ちます。

ゴロゴロ…ゴロゴロ…

え?何の音?
今まで無かった音が入り、体を硬直させて聞き耳をたてているとハッとしました。
(あ、これ猫のゴロゴロ音だ!)

その音が、猫がリラックスした時に出すゴロゴロだと気づいた時、思わず涙が溢れます。
私は猫好きで、去年に長年連れ添った愛猫を亡くしていました。
クロという名前の猫だったのですが、クロが助けに来てくれたんだ、と思うと勇気が湧いて怖さも和らいでいきます。
それからクロは退院するまで毎晩登場し、お陰で私も無事に退院する事ができました。

話は変わり、それから月日が流れお爺さんが危篤となりました。
高齢だしそろそろ危ないとは周知されていたので、親族が集まって見送る事が出来たのですが、その時に私は気づいてしまったのです。

私のお爺さん、呼吸するとゴロゴロと音が鳴っていました。
そろそろ旅立ってしまう方がそういった呼吸音になる場合があるようなのですが、それが猫のゴロゴロ音と似ていたんですよね。

もしかすると、私が入院中に聞いた音も人が出していたのでしょうか。
人が出していた音だとすれば、あの時部屋には私以外に誰も居なかった。
だとすれば音の主は…。

何とも気味の悪い話で、今でも思い出すと背筋が寒くなる思いがします。
でも不幸中の幸いと言いますか、入院している最中にはクロの音と認識して良かったのかもしれません。
もしこの可能性を知っていたら、当時の私には耐えられなかったでしょう。

真実は確かめようもありませんが、私はクロに励まされたのだと思うようにしています。きっと、そうです。

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